楽古岳 コイボクシュメナシュンベツ沢 2015年

定例 楽古岳 コイボクシュメナシュンベツ沢

自分には山魂はあるのだろうか?

2015年8月15日~16日

8/15
札幌から楽古山荘までのアプローチは考えていた以上に遠い。
苫小牧から高速の日高道に乗ったにかかわらず到着したのは5時間後(もっとも行きも帰りも本宮運転)になってしまった。お盆であり、土曜の夜なので他パーティが多数いると考えていたのに誰もいない。その後、静かな小屋に騒がしい我々の専用となったのは意外である。

8/16
尾根道を行くTT、TKパーティより早めの時間5:35霧雨にむせぶ林道を歩き始める。ブツシュだらけの林道は歩きにくいが時間は稼げるので仕方がない。
5:52ようやく入渓、しばらくは歩きやすい凡庸な沢であり、特に印象に残るところはないのだが、6:50コンタ535mに5mほどの釜を持った滝が現れた。
右から合流する枝沢を横切り、左岸のバンドをトラバース。
ここは見た目以上に微妙で、落ちたら釜なのでへばり付くように抜けてホッとする。この後、これ以上難しい所はなかったので、ここが核心だろう。

            ここのへつりが核心だろう

時々現れる滝は大きなものはなく難しくもない。
しかしながら7:37コンタ570m上流がなくなった、いやなくなったわけではなく、接近すると右岸上部が崩壊した為、高さが10m近く、沢が崩れた岩で完全に塞がれているのだ。
水流がどこへ消えているのか良くみてみると、最下部を伏流しており、水溜りはない。左岸を越えて振り返ると、崩れた岩上部には枯れた木々ばかりか、なんと青葉を付けた木も載っている!それはこの崩壊は昔の出来事ではなく、ごく最近の出来事を意味しているに違いない。
これほど大きな崩壊は見たことがないし、もし通過しているタイミングで発生したならば永遠に埋もれて見つかることはないだろう。
崩壊はここだけではなく、上流二箇所でもあり、以前の沢を知る人にとってこの変化は残念にちがいない。

AMのペースが早く、ついていくのが大変になり、少しゆっくり歩くように泣きを入れる。いや年令には勝てない。
8:29コンタ813m右折するといよいよ急峻な滝の連続の入り口であるが、ガスで煙り肝心な滝の上部が全く見えないではないか。
天気がよければ一直線に伸びていくダイナミックな光景が拝めるはずなのだが。
急角度の滝であってもガバだらけなので、全て直登出来き楽しい。
ただ、落ちるとどこまで落ちるか分からないので、油断は禁物であるのは言うまでもない。ここまで来てもせっかくの背景、十勝岳も稜線も何も見えないが雨は止んだ。

   右岸の大崩壊で沢全体が埋まっていた 水流は伏流している


9:45水流が消え源頭に出たが、ガスの為詰める沢形が良く分からなくなった。
ただ、進みやすい右は行きやすいだけに甘い罠かもしれない、過去に何度楽な方を選んでひどい目にあったことか、で、まっすぐ進むことにした。
9:54コンタ1310mに真っ赤に錆びた例のドラム缶が出現したので、ルートに間違いがないことが確認。
ドラム缶より上部には明瞭な踏み後があり、ひどいブッシュもないまま間もなく稜線上の道に出る。この頃にはガスも消えて景色がよくなる。
日高の山は疎いのでどこを見ても山座同定は出来ない自分は情けない山屋だ。

10:13楽古山頂に到着やけに立派と言うか派手な看板は日高の山には似合わない。昔行ったカムイエクウチカウシ山には人工物はどこにもなかった。
山頂にはTT、TKパーティの姿がなく、しばらく待つことにして景色を楽しむがブヨがやたらと多くて振り払うのに忙しい。
10:43下山開始、尾根道を降り始めて間もなく三人パーティ、そしてはTT、KTパーティに出会う。
予想どうり尾根道は日に照らされて暑く、風もなく大変だったらしい。
それにしても急角度の尾根道を根性でがんばるTTさんには頭が下がる。

下山はメナシュンベツ川までひたすらまっすぐに急角度で降りていくので、簡単には停止できないため休憩する暇がない。
こんなんでは膝が壊れてしまうと心配になる11:45沢音が聞こえ、メナシュンベツ川に出る。ここでやっと休憩タイムとなる。
それにしてもどうしてジグザグを切らないで、まっすぐに道を付けたのだろうか。まあ日高の山に夏道はほとんどないのだから文句は言えない。
後は沢沿いにほとんど平らな道を進み、気楽なものだ。だから楽古?いや違うか。
泳げない自分にとってこのくらいの沢が一番似合っていて楽しい。

12:39楽古山荘帰着する。
駐車場の横に立派な石碑があるので見ると「山魂」と彫ってある。あまり聞いたことのない言葉なので一枚撮る。自分には山魂はあるのだろうか?
それほど困難ではなく、ロープも数回出すか出さない沢であり、詰めの藪こぎもたいしたことはない。下山は夏道があるので非常に楽だ。
 ただし、急傾斜なのでスピードの出しすぎは転倒の危険性がある。

        これまた色気のない標識である