美瑛岳~十勝岳周回コース
2020年9月21日
今年は高い山に登ることができず、すっきりしない思いをしていた。
羊蹄山は、怪我をした2016年以来どうしても自信が持てない。登りに5時間、下りに4時間は大丈夫と思うのだが決心できない。芦別岳も7年前に旧道を6時間半で登り、4時間半で新道を降りたのだが、今では2割り増しのタイムとなる。13時間半は日帰りでは到底無理だし、新道は日帰りできてもあまり面白くない。先週、KSがメーリングリストで呼びかけた石狩岳~音更岳シュナイダーコースは行ったことがなく魅力的ではあってもKS、TTに遅れを取るのは間違いなので迷惑をかける事になる。そこで浮かんできたのが美瑛岳~十勝岳の周回コースだ。
一月前にTKさんが登っており、結構厳しかったようだがなかなか魅力的だし、縦走になるが望岳台から出発し、再び望岳台に戻るのは楽チンである。
9月22日
4:00起床。パン一個という貧しい朝食を取り、薄暗い登山口を5:03出発。
十勝岳のシルエットが美しい薄暗い中、すでに何人ものヘッドランプが先行している。美瑛岳分岐点を通過し、しばらくすると十勝岳避難小屋となるが、15年前に見たのとは微妙に形が違っている。
十勝岳はいつ噴火するかわからないので、監視カメラが随所に設置されている
最近立て替えたのだろう。小屋を過ぎて左の尾根に上がり昭和火口を左に見るとジグザグの少しきつい登りだ。陽気なアメリカ人パーティーの抜かれたが、若い人は元気で早い。昔は、コースタイムの七掛けから六掛けだなんてほらを吹いていたが、今となってはただの70代老人であり、いそぐ気にもなれない。ひたすら少しずつ確実に休みながら登るだけだ。
天気は悪化する気配はなく風も全くないのはありがたい。
スリバチ火口を過ぎると平らな尾根になり歩きやすく、頂上も目の前になったので力を振り絞り8:16十勝岳頂上到着。富良野岳方面、美瑛岳には雲が掛かり残念ながらよく見えない。写真を一枚撮り8:21北東の縦走路に足を進める。
シルエットに浮かぶ十勝岳
生きている地球を現わす強烈な水蒸気
十勝岳頂上から少し下ると標識は有るものの、茫漠とした砂礫の緩やかな尾根は晴れていて良く分かるが、少し天気が悪くなると方向が定まらない。
コンパスが有っても自分の地点がはっきりしないと少しづつずれることになる。
やはりGPS端末地図を併用するのが一番安全で確実だ。
画面の大きいスマホのアプリが使われることが多いようだが、なにせ電池の消耗が激しく二~三日どころか丸一日も怪しいだろう。
モバイルバテリーがあっても重い。ガーミン20Jの場合、電池は単三二本で25時間と長く、一日の行動が8時間であれば最低三日間持つし、予備を持てば何の心配もない。あらかじめルートを作成し、メモリーに転送するとGPS端末を見なくてもポイントごとに通過点が正しいことをピピンと音で教えてくれる。
これは時々地図を見るだけでよく、GPS端末はただログを取るための機器に徹するのだ。そして万が一(毎回迷うことが発生するので毎回かな?)迷ったとき地図と突合せ確認。
こうしてGPS端末を持ってから全く道に迷うことがなくなった。
頂上から美瑛岳方面に踏み出すと火山灰のザレザレとなる
ともあれ今日は無風快晴の超快適登山である。迷うことは何もない。
いったんコルまで降りると後は美瑛岳まで登りの一途である。
先行する一人の男性が登山路を左に外れ、爆裂火口側に入っていくのでどうしたのかと思ってみていると間違いに気づいたと見え戻ってきた。
いや、遠くから見ていると良く分かっても、ルートの近くしか見えない場合間違えることがあるのが良く分かるということだな。自戒せねばならない。慢心は事故の元だ。次第に美瑛側に入っていくと砂礫の荒野から植物の山へと劇的に変化していくのは素晴らしい。名前の分からないリンドウやエゾ何とかなど健気でかわいい。
美瑛岳爆裂火口の外輪に沿って道がある
このあたりで単独男性と男女ペアパーティー二組に次々に抜かれる。
やはり若さには逆立ちしてもかなわない。当たり前だけど無理せずマイペースで歩みを進める。美瑛岳頂上直下で少し迷いそうになったが10:33到着。十勝岳をはじめ展望が利かないが天気は相変わらず良い。数組の登山者、そして下から次々と上がってくる。
十勝岳と違い美瑛岳は緑に覆われている
10:43下山開始。
思ったより急な下山路は脚への衝撃が大きいので休み休み降りていくが、どうしても早くなり膝が少しずつ痛くなってきた。
ハイマツに覆われた登山路は足元が良く見えないし、岩場も時々現れ油断は出来ない。ポンピ沢へ出る間に三組追い抜くが結果として望岳台手前でボロボロになった私は浮かれてしまった。
ポンピ沢から少しで10mをこえる深さのえぐれた谷がある
梯子を降りたら今度はロープでごぼうになる これは力技だ
ポンピ沢は清涼な流れで飲むことが出来るだろう。トラバースして回り込むと大きくそして10m程えぐれた沢に出た。梯子を使い下り、今度は縄で強引によじ登る。ほかではなかなか見られない、今回の登山で一番面白い場面だ。
ここからは痛い右足を引きずり、休み休みの情けない歩きとなる。札幌に暗くなるまでに到着するには、望岳台を遅くとも15:00前に出る必要がある。
ノロノロと歩く自分は前期高齢者登山者であることをいやっと言うほど感じた。
13:43望岳台到着。
いや疲れたわ、ホント。でも歩き通すことが出来ただけ少し安心した。