ニペソツ山 杉沢コース(現在廃道)
2011年8月27日
4:40登山口出発後川を渡ってすぐに登りとなりうっそうとした森をひたすら登る。昨日降った雨もひどくないようで登山道は水が流れていない。
雨具のパンツを念のためはいて来たのだが気温が高く暑いので途中で脱いでしまった。これが後にまずい結果になるとは思わなかった。
一時間半くらいで小天狗の岩場に着いた、しかしなんの危険なこともなく通り過ぎ道は笹原に代わった。ここからが水滴地獄の始まりとなる。
今は廃道になった杉沢コースの途中には岩場もあった
まるで左右からジョウロで水をこちらに向ってまくように降ってくる。これはたまらない、あっという間にズボンはびしょぬれとなり、靴下からおしまいには靴の中までぐっしょりとなり閉口。ぐちょんぼちょんになった靴で歩くのは非常に不快で歩きにくい。
そんなところを30分以上歩いてようやく岳樺に変わったので靴を脱ぎ水を出し、靴下を絞って何とか対応した。
このあたりに剥がれたソールがあった!
これで少しは歩きやすくなったが、歩いている途中とんでもないものを見つけた。なんと登山靴のソールなのだ。綺麗にはがれ登山道の真ん中に落ちており、話に聞いていたソールの剥がれ落ち現象と思われる。
その靴の持ち主のことを考えたら、どんな思いで下山したのかとても気の毒に感じた。
私自身もソールの剥がれではないが、21年前、冬山用のプラスチックスブーツに無数の亀裂が入っているのを登山に向う列車の中で発見、鴛泊の商店でガムテープと針金を買い、応急措置をして何とか山行を無事終えたことを思い出した。
それは確信犯的行為で、無事何事もなかったからいいようなもので、凍傷にでもなったら天罰と言る。今回は恐らく手入れが不十分の為か、加水分解でも起こして剥がれたのだ。
いずれにしても稜線にまで上がった時点でのことですから大変なことになったに違いない。天狗のコルを越え前天狗ののぼりでハイマツ帯が現れた。
天気は無風快晴気温もちょうど良く、寒くも暑くもない。これ以上はない天佑。
朝早かったので天気が良いこともありコントラストが強くとても美しい
この景色は北アルプスにも無いような迫力がある
7:30前天狗に到着するとニペソツのダイナミックな雄姿がドカーンと眼前に現れた。天気が良いので全てが見える。クマネシリも石狩岳も表大雪も十勝連峰も丸見えだ。ナキウサギの声があちらこちらから聞こえ姿もちらちら見える。
これほどの数が生息しているのは他にはないのではないかと思うほどあちらこちらで見られ、疲れも吹き飛んでしまう。
写真を撮ろうとしてもすばや過ぎて、ここでは一枚も取れなかった。残念。
ここからは常に本峰を見ながら快適な岩原を歩くのでとても気持ちが良い。
8:15天狗岳に到着、ここから見上げるニペソツの迫力は他にはない強烈なものだ。利尻山の流麗さとも、芦別岳の鋭角さとも違う量感あふれる姿といえる。
重厚感あふれるニぺソツ山
しばらく見上げていたかったが、まずは頂上に急がねばならないので最低コルめがけて降りていく。このせっかく登ったのに降りていかねばならないのは悔しい。この上り下りが三回もあるのがニペソツの特徴であり、下山にも登りとさして違わぬ時間がかかってしまうのは仕方がないというべきか、登り応えがあると言うべきか分からないが、少なくとも私にとって試練に違いない。
強烈なハイマツ帯をあえぎながら登っていくと岩稜となりトラバースしながら右へ回り込み、頂上へと続く。
9:05すでに頂上には三人の登山者が景色を堪能していた。
いつも思うが、道内の有名な山には本州からの登山客の方が圧倒的に多いのは何故でだろう。それも昨日は夕張、明日は十勝というように、レンタカーを借りて精力的に登っていは羨ましい限りだ。もっともわたしなら体力的に連日はとても無理である。花は時期的にそうなのだろうが種類も数も少ないようだ。
忘れたが石狩岳か?
頂上からの眺めは見える限りの山は全てというくらい見通しが良い。
表大雪、十勝連峰、芦別、夕張、石狩、ウヘペサンケはもとより、良く分からないが日高連峰から阿寒まで見えていた。
9:42下山開始、快調に降りられると思ったが甘かった。登り返しが思っていた以上に大変。今日はトムラウシの時のような快調さが体にも精神的にもないようできつい。前天狗で大休止。このすばらしい展望から離れがたい。降りていく途中にナキウサギが現れ何とか写真にとらえられたのはラッキー。
鳴き声は聞こえても姿はなかなか見ることが出来ない
ともあれ歩いているうちに川音がしてきたのでもうすぐだとうれしくなる。
程なくして登山口13:40到着。登り4時間25分下り3時間58分と27分しか違わない。川で靴を洗い顔を洗ってすっきりする。