洞爺湖 エボシ岩危険な関係 1989年

エボシ岩  危険な関係

1989年10月12日    
                            

洞爺にある三角岩は5Pのアルバインルードだがらー度行ってみようとAH,KTをさそってでみたが閉口するブッシュと、あまりにボロボロな壁を登らせてしまい、このままではマズイと思った。そこで2年前に数度おとずれたエボシ岩へ向かうことにした。  
その頃はパートナー不足の為ルート開拓を途中で終わったので、今回やっと完成出来た。 エボシ岩は道立青少年自然の家より30分程上がったところにある高さ70mの岩塔で、岩質はザラザラしており見た目は硬い。
しかしボルトが意外に簡単にあくので、プロテクションは慎重に作る必要がある。
3面がクライミングの対象で南の3mの大バングを始め、ハングがいずれの面にも存在する。クラックもあるが、ほとんどがフエ-スにルートをとらざるを得ず、人工もしくは困難なフリーのルートとなるだろう。この壁を見上げると、我々の力不足を痛感する。

        危険な関係1P目


1P目、右5.9左5.10a
SM一AH一KT
両手で左右のホールドを掴み、せりあがつたところで左スタンスをとらえ、右上のホードヘランジする。そのまま直上していくが、下部3mは少しかぶっておりホールドが細かいので指が痛くなかなか厳しい。ここより左ヘトラバースしてき、ホールド、スタンス共に乏しいのでこらえる。4本目のプロテクションを越えると傾斜がゆるくなるが気は抜けない。テラスへ上がって終了。

2P目、IV一
SM一AH-KT
テラスより白いスラブを直上すると湖が見え始め、高度感も出てくるので非常に気持のよいピッチだ。プロテクションがないので途中17mをランアウトしてしまった。
まったく難しくないのだが、途中にボルトを打つ必要があるだろう。
展望テラスの立ち木でアンカーを取り終了。

3P目、5.9
SM一KT一AH
それ程難しいピッチではないが、プロテクションが一本下部に以前打ったものしかないので、作りながら登ることにした。2本目、3本目までは片手でホールドを掴みなんとか打てたが、この辺よりハングしてくるので4本目はかなり厳しかった。  
ここで小休止し、最後の2mへと向かうが、パンプしているのでハーケンを打つ余裕は全くない。一気に上がるしかないので右手ホールドで体をささえ、左手を延ばしぎりぎりフレークをとらごえたが、なんと浮いている!
もう体は後へ戻れないし、左手は抜け口まで30cmもあり全く届かないので万事休す。
最後に打ったハーケンが抜けぬことを祈りつつ叫んだ「おちるよ…」壁から手をはなすと体は垂直に3mほど落下した。
幸いにハーケンは抜けず、また八ングしているので、どこにもぶつからなかった。
 

今度はフイフイで強引に体をずりあげハーケンを打ち、A1でバングを抜けた。スラブを登りエボシ岩のピークに着く。ルート名は『危険な関係とした』
                           (SM)

 



烏帽子岩は、その後さまざまなクライマーにより、フリーのマルチピッチルートが開拓され、近くの義経岩と共にクライマーに親しまれている。