赤岩 東の大壁小林Cカンテ 1989年

赤岩 東の大壁小林Cカンテ~テーブルリッジ

無理を通せば道理が引っ込む体育会

1989年1月21~22日
                          

札幌登攀倶楽部に入会して初めての山行が赤岩の東大壁となり、朝の暗い5:35TK、OK両氏が迎えにきてくれた。しばらくぶりのアルパインクライミングでもあり、いささかの緊張感が有っても、クライミング出来る喜びが大きかった。
大壁の頭から懸垂二回で佐藤ルートの取り付きに到着し、TK氏リードで開始したがTK氏の肩の調子が今一つ良くないので小林Cカンテに変更する。
小林Cカンテは何度か登っているものの冬に人工登攀で登るのは始めてである。
ふと他の二人を見るとアブミが四段になっている、私のは三段だ。
先日、四段は長くて使いにくそうと切り詰めたのだが、乗り移る際短すぎて苦労することになった。
 

   夏の小林ルート Cカンテは左のスカイライン


小林Cカンテ 

1P目 TKリード
TK氏は相当慎重な性格に見え、パワーがある。粘り強くカンテラインをアブミのかけ替えで登るが、ボルトの間隔が狭いので見た目ほど難しくない。人工に慣れない私は、やはりアブミの架け替えに慣れない為、手順に戸惑うが詰まることはなかった。 人工部分からフリーに抜けるところからは、自分の得意とする部分でありスムースに行く。

2P目 OKリード
2P目も引きつづきTK氏がリードする予定であったが、肩の調子が思ったより良くないとの事でアンカーよりOK氏がリードする。クラックをA1で抜け、壁をカリカリ引っかき上部に消えていった。私もアブミに翻弄され、クラックに嵌ったキャメロットを外すのに苦労し、何とか核心を抜けた。真冬の赤岩であり、気温も低いのだが、ほとんど寒さを感じないのは楽しいことを夢中になっているためであろう。後はやさしい暖傾斜を頭まで登り終了する。6時間を越えてしまった。

テーブルリッジ 

全ピッチOKリード
次の日、TK氏の肩が回復しないとの事で、テーブルリッジはOK氏と私の二人で取り付くことになった。リード権がない私はビレイに専念し、全ピッチOK氏がリードする。
前日からの降雪が多く、取り付きから傾斜が落ちた部分よりラッセル状態となり、登るより雪かきで消耗する。難しくないのに時間はかかり、遊歩道に抜けたのは前日と同じく6時間を費やしてしまった。入会初日よりハードな山行に充実感であふれた。 (SM)

 

札幌登攀倶楽部に入会して初めてのクライミングが、1月の赤岩、東の大壁であると聞かされた時、内心『マジか!』と思ったが、ひきつった笑顔で了承した。
大壁の頭から懸垂で取付きに降り立った時、登らないと帰れないと覚悟は出来たが、恥ずかしい話アブミを使った人工ルートの経験が全くないとは言えない。
事前に教本で覚えた技を思い出しながら、なんとか切り抜けたことを今でも冷や汗がでる気がする。当時、体育会系のクラブは『無理を通せば道理が引っ込む』でもあった。