カミホロカメットク山 化物岩 1989年

カミホロカメットク山 化物岩

1989年11月24~25日
   

天候が良く、寒くないので十勝岳温泉まで車が上がって行けると考えていたが甘かった。あと2~3kmというところで、磨り減ったスパイクタイヤは路面をカリカリ掻くだけで全く用を足さない。滑り止めの砂をまきながらなんと2kmを1時間以上かけて駐車場に到着。トランシーバーで先発パーティーと連絡を取りながら23:30ベースに入る。
朝になって、あまりの人の多さとウンコの臭さに驚く。
KDと二人で化物岩向うが基部にHN氏とKS氏がすでにいた。

 


右ルート3P
1P目 KDリード
中間までは難しくなく、コンクリート化された草付きは快適でバイルが良く決まる。
ハングした地点より右に回りこみ、被ったスラブを抜けるのが意外と難しい。
背の高い土橋氏は簡単に抜けていったが、背の低い私にとって少しつらいものがあった。しかし何とか通過しピッチを切る。

2P目 SMリード
なんとも言えぬくらいやさしい雪壁をノソノソ上がり終わり。
しかし、ビレイ点がない。全く利いているとは思われないがV字ハーケンを左右に打ち土橋をビレイする。

3P目 KDリード
右上する凹角だが10mも登るとなだらかなリッジに出て終わり。
1時間30分であっけなく終わり、二人で顔を見合わせがっかりしてしまう。
天気が良いのでD尾根を短時間で下り他のパーティー終了まで待つ。荒れないカミホロは珍しい。なんだか物足りない気もするが、荒れたら荒れたで泣きたくなる。(SM)

        カミホロ正面壁 風が強いのが分かる

『カミホロはやっぱりカミホロだった』という謎の言葉が、道内のアルパインクライマー内で合言葉のように交わされている。
 荒れる大地パタゴニアではないが、12月上旬のカミホロカメット山は大荒れになるのが避けられない。いったん荒れるとクライミングはうまくいっても、頂上からD尾根を伝わって下山するのが極めて困難になる。
 頂綾からD尾根に入ると、北西の風が下の方から吹きあがってくる。
 遮るもののないD尾根を、視界のないまま下るに従い、体力の消耗は激しくなる。
 安政火口に入れば、ほぼ安全地帯になる。あとはスキーで十勝岳温泉の駐車場だ。