カミホロカメットク 正面壁中央クーロアール 1991年

上ホロメットク山 正面壁中央クーロアール

カミホロはカミホロだった

1991.11.22~24

11/22札幌発21:00十勝岳温泉着0:30
   旧噴火口BC着1:50
11/23 B C発8:50取付尾根基部9:30
   中央バンド着13:30
11/24中央バンド発6:30取付 7:00
   上ホロピーク12:00 D尾根1.3:00
旧噴火口着 16:30駐車場17:50

<行動記録>    

11月22曰
但楽部の事務所に集合し、SM氏のニッサンサニーステーションワゴンスペジヤルバージョンで札幌を出発する。ところが、出発間際のドタバタで、食料係がジフィーズを買い忘れたことが判明し途中、生協に寄り買い物をしてから中央高速道路に乗り、十勝岳温泉を目指して走る。
途中、KSパーティのAH車のトランスミッションが故障し、温泉を目前にしてKT氏のハイラックスに牽引されるなどのハプニングはあったが、何とか全車が温泉に到着し、明日以降の行動を考えヘッドライトの明かりを頼りに、スキーを履いて旧噴火口まで歩き、いつもの場所にベースキャンプを設営する。
 
11月23日
 昨日の夜間行動のため寝不足の体に鞭打ってBCを撤収しているうちに、他の会のパーティがテントの横をドンドンと通り過ぎて行き、我々がBCを撤収して出発する頃には、誰もいなかった。
 今日の午前中は、教研部の氷雪訓練であったので、KD部長の指示に従い、上ホロ正面壁取付尾根基部を目指してBCを出発する。取付尾根の終了する沢の右岸の斜面で各パーティ毎にピッケルストップ、コンテニュアス、スタカットなどの確保用ザイルウークの練習を行ったが、午後から予定していたハツ手岩のルートは他のパーティがハツ手岩の取付に集中しているのであきらめ、そのまま正面壁取付尾根を登る。             
尾根の途中で、中央バンドから降りてくるピオレのMパーティに出会う。
彼らは、中央バンドから中央クロアールの取付を発見できずに降りてきたと言っていた。あまり視界が利かない状態であったが、30分で中央バンドに到着し4時問が中途半端なため。ツエルトを張るには時間が早かったが、明日の行動を考えてC2を設営した。遅くまで、氷雪訓練を繰り返していたKDパーティも遅れで中央バンドに
登ってきたが、OKパーティだけは、明日の行動を考えて、チムニールー卜のフィツクス作業に取り掛かり、暗くなるまでに2P分のザイルの固定をやり遂げた。   。
我々のパーティは、中央クロアールの取り付きを確認しただけで、行動を終え昨日の寝不足を取り返すためにツェルトの中で丸くならてしまった

         カミホロカメットク山正面壁


1月24日
4時に起床、ツェルを撤収し、中央バンドで登攀具の準備をじて取付まで移動し、クロアールの入口の右手の岩にハーケンでアンカーを取り、7時には登攀を開始する。

1P目はSMがびっしりとし凍りついたF1の垂直な氷を3m直上後、ゆるい斜面を20m登るとぐ正面がバングしたとい状のF2(2m)となり、これを滝の手前から右側の外頓した氷の壁を左上して上部の雪心斜面に出てクロアールの右壁にロックハーケンを打ちビレー。  
2P目もSMがリードし、雪面の5m上部がすぐ2mのF3となっているが、滝め右側に氷結した流れがあり、これをあまり氷の状態の良くないダブルアックスで超えるさらに、滝の上部の緩い傾斜を15m登りクーロアールの左壁に2枚ロックハーケンを打ちビレ-する。

3P目は、SKがフォローしクロアールの流れが右に傾いた小滝に入り、左に屈曲した部分に氷の発達した3mのF4が現れるが、これは左側の氷結した流れを登るさらの上部は雪面が続ぎ10m程上に中央ごグロアール最大5mのF5がゴルジュ中に落ちてくるが、滝の落ち口め氷にスナごグを2本打ってビレーする。
 
4P目もSKがリードするが、F5の氷の状態が不安定なためと、大型のエビ
の尻尾が発達していて滝の直登は困難と判断し、滝の右側の7mのクラックの氷にバイルを決めて右のカンテ部のテラスに出るが、カンテにはエビの尻尾が発達したハイ松の尾根であった。藪こぎの時間が無いのでクラックにアングルハーケンを打ち込み、アプザイレンで滝の下にもどる。
残る可能性は、滝とクラックの間の壁となり、クラックの左フェイスの切れ目から上部5mの凹角を目指して直上することとし、フェイスを3m直上後いスタンスが安定したところで右手小バングの岩を掘り出し、平型ハーケンを打つ。さらに、小バングから左
に振って、エビの尻尾を落としながら凹角に入り、クラックの中にアングルハーケンの残置を3本見つけて直上する。
 凹角上部の傾斜が落ちた斜面5mの岩にビレーポイントらしきピンの残置を発見するが、そのままルートを左上し強風の中、カミホロカメットクのピーク周辺の稜線に飛び出す。
 
左手のピークらしき丘の上に標木を確認し、ハイ松をアンカーにしてビレーしていると、右クロアールの登攀を終えたKSPは天候の状態が悪化しているので、十勝岳は取り止めてD尾根を下ると下山して行った。我々も急いでピークを確認! 先行するKSパーティに追い付いたが、相当な強風と地吹雪に前進を拒まれ、D尾根の頭からはザイルを付けて、這い降りることとなった。 
軽量なSMはザックを背負った状態でも、一瞬浮き上がるほどの強風だ。   
D尾根のコルからは風も弱まり、急いでD尾根を下るが、化物岩手前の下降ルンゼは視界が悪くてルートが確認できないのと、降雪のため雪崩る危険もあるため、夏道通しに化物岩の下部を巻き、D尾根の露岩の位置から地獄谷へむけてラッセルの後、トラバース気味に旧噴火口へ下る。
 

途中、トランシーバーで他の2パーテイと連絡をとり、集合時間に遅れたこと
を謝る。旧噴火口でスキーを回収し、ヘッドライトをつけて、駐車場まで滑り下りた。バッテリーの上がったSM車をブースターケーブルで繋いでなんとか十勝岳温泉から下りことができた下山後は、全員で上富良野の町に新らしくできた「フラヌイ温泉」に行き3日間の疲れを癒すが、何とメンバーの顔面は凍傷にやられて、スキー焼けのようなっていた。今回の山行では、利尻でもなかなか経験できない稜線行動の厳さが、登攀における凍傷対策の必要性を再認識させる結果となったようである。
とは言っても、我々は凍傷の顔も何のその温泉の後は、北大ワングル御用達の駅前「田」で特大カツ定食を平らげ、元気に札幌までの道のりについたのであった。                                    
                                 (SK)

カミホロカメットクの登攀ルートはやさしくはないし、残置プロテクションも見つけにくい。しかし、問題は登攀終了後の下山だ。荒れるカミホロからの安全な下山は、D尾根から旧噴へ降りていくのみだ。これがまた地吹雪に会う確率が高く、消耗する。
 気を付けなければならないのは雪崩と滑落だが、ここでの事故はことに多いので気に留めてほしい。

ルートをクライミング中、私は巻き込む風に目をやられた。D尾根下降していると視界が摺りガラスのように、ほとんど見えないのだ。仲間について行くのがやっとであった。翌日病院に行くと角膜が傷だらけになっていると言われた。ビレイしている間にゴーグルを使う必要があったのに、使っていなかった。これも油断であった。