崕山 札幌登攀倶楽部ルー卜 1995年


崕山札幌登攀倶楽部ルー卜 COチムニールート

二度と登れないロストワールド      

1995年6月.2 4日
                       
08:45取付 11:30終了

1P目 30m V十A1 SO~SM
リングボルトよりカンテを直上するが、ホールドとするものが悪く、リードするSOは何時に無く慎重だ。ビレイヤーはワンムーブごとに起こる落石を避けるのに夢中で、確保どころではない。カンテを突き当たったところを右に回り込み、白っぽい凹角に入る。ここも右の壁はボロボロで確実性はない。左のリス上下2本のハーケンをA0で抜け、バンドに這い上がるが、フォローのSMは上のハーケンが抜け、1m程ずり落ちた。不安定なバンドを左上し、6~7mで大フレークにつき当たり、ここを3m直上してフレークの上部に出て終了。このフレークは向こうが透けて見え、浮いているが意外としっかりしている。

2P目 25m V A0 SM~SO
フレークテラスよりリングボルトが3本連打されたしっかりした壁を直上する。
「フリーで登れ」と横で岳友会ルートを登っているSOから声が掛かったが、
俺は安全確実がモットーだ口と拒否しA0でホイホイ登る。スラブを抜けることブッシュ交じりの壁となり、7~8m直上するとアングルが1本在る。ここより1m降りて右下々バースするめだが、どう目を凝、らしてもボロボロで渡れそうもない。しばし躊躇した後、アングルの複にナイフプレードを1本打ち、意を決してトラバースする。
カンテに出て身を乗り出すとコの字が1本在り、一安心。
ここより2mでアンカーに出た。コの字は全くきいていないので要注意。
このピッチはスラブを抜けてから直線で右上してアンカーを目指したほうが精神安定上いいみたいだ。

3P目 48m V十A0 SO~SM
アンカーより3m横の凹角に入り、ボロボロの壁を7~8m直上するとシンパクの
ブッシュ帯に入る。これは全くあてにならないブッシュで、
触るものすべてが剥がれてしまい、頭から泥だらけになってしまった ここを左上するとリングボルトとハーケンが横に打ってあり、シュリンゲがかかっていた。
左上するとバングなので、このボルト上のフェースを直上するが非常に苦しい。
下を見ると高度感がたっぷりのところなのであまり落ちたいところではない。
フェー-スをぬけると6~70cmくらい張り出したバングに突き当たる。
左のフェースにキャメ2番がとってあるが、とてもきいているようには見えない。
しかし、SOはここを越えているので、仕方なくぶら下がってみると以外や意外、けっこうしっかりしている。!
ホールドも有り、一気に乗り越す。このルート一番のお勧めバングであった。
SOが初めて登ったので『SOバング』と命名する。

この上を10mでブッシュ帯に入り終了全く何も考えずに取り付いたが、なかなか手強く、久々に充実感の残るクライミングとなった。
まだ何登もされていないので浮石が多く途中のブッシュも泥だらけだが、既成のルートで飽き足らなくなった人や、アルパインはボロ壁でスリルがなくてはおもしろくない、と確信されている方には特にお薦めのすばらしいルートです。
 3.4のコルヘ懸垂し昼飯とする。しばしJOパーティを待つが、来ないのでC0チムニーへ向かうことにした。
                                (SM)

中国吉林の様相を見せる岩塔 今は登攀禁止 遠くに夫婦岩が望める


COチムニールート

1995年6月24日
12:55取付 14:00終了

1P目 25 mIv  SO~SM
C0の末端にカンパの木が2本有る。ここよりカンテの左を左上しでリッジに出る。
一見すると非常に脆そうだが札幌登攀倶楽部ルートと比較したら、とんでもなく堅い。しかしてSOはあっというまに終了。

2P目 35mV  SM~SO
だらだらしたリッジを10m進むと、2本のチムニーが有り、右のほうに入る。
典型的なバック・アンド・フットで実に快適。 10mで左のチムニーに移り、1 5
mでテラスに出た。ホールドはたくさんあり難しくない。

3P目 10m Ⅲ SO~SM
テラスの正面にはかぶったピナクルがあるのだが、ここは右下へ2m下り、ピナク
ルの後ろへ回り込む。

4P目 20mV  SM~SO
右上するクラックを10mで高度感のあるカンテに出る。
バングしているが快適の一言に尽きる。ピークに出るとn峰群が眼前に現れる。
懸垂で3.4のコルヘ降りる。 雲行きが急速に悪化できたので天場へ
急いでむかうのだが、迷った?しかし、こんな所で迷いようではないかと思うも見つからない。 10分程ウロウロしてやっと帰還!
 
テントに入ってホットするまもなく土砂降りの雨となった。思わずセーフ。
10分遅れでJOパーティも戻ってきた。さてなにはともあれ夕食でも作ろうか
と食料、水、ガスボンベを出したが………
『あっ!ガスヘッド忘れた!』『エエッ!』
『なにっ!』『なんだと』 3人の視線が鋭くOOOにつき刺さるように向いた。ザッ
クをひっ繰り返してみたが、やはり無いものはない。 豪華絢爛のディナーは豊富な各種材料(今思うとそのような気がする)を目の前にしてあえなく夢と消え去ったのである。 
明日の行動食を出し合い、清貧の食事となったのはいうまでもない。
食うものもないので直ぐに寝ることにした。しかし『腹へった!』食い物の恨みは深いからな。 似た様なことが過去にも確かあったはずだが誰だったかはもう忘れた。
明日は雨だし、さっさと降りて温泉だ。             (SM)


標高1099メートと低いために、市街地からその姿はほとんど見えない山は頂上付近に高さ100mほどの石灰岩帯が南北2kmにわたって露出している。
崕山にマルチピッチのルートがたくさんあった。
昔からキリギシソウやホテイアツモリソウ、ウスユキソウが見られた花の山であると同時に我々アルパインクライマーにとって貴重な石灰岩の岩場でもあった。
傾斜がきつく、登りごたえのあるすばらしい岩壁だが1999年から植生を保護する目的で、地主である営林局や支庁、地元の木材組合などと一緒に崕山自然保護協議会が組織された。毎年の初夏、花の季節に週二回のペースで計6回だけ計150人限定のモニター登山だけは続ける「入山制限」が設けられて山自体に入れなくなった。
ルートはあっても再登出来ない。
岳友会ルート、フラワーロード、札幌登攀倶楽部ルート、C0ルートはじめ20本くらいあった岩場は「ロストワールド」になり、永遠にわすれさられるのだろうか。