シシャモナイ岩壁 1989年

シシャモナイ岩壁 大スラブ、クレイジイルート 

1989年9月22~24日
                  
車をデポしてから海岸沿いに左へへつっていくのだがSYの道案内がさっぱりのため1時間以上ロスをしてしまった。
懸垂三回の草付きはさすがに歩いて下れそうもない。
結構厳しい岩場を渡り一時間半程度で目的のテント場に到着した。
ここから見る見上げる岩壁は眼前に立ち上がり迫力を見せてくれる。
特に大ハングはその独特のルーフを8mもの奥行きで見る者を圧倒する。
何はともあれ早速登攀具を身につけ大スラブの取り付きに向う。
壁に沿って200m程ガレを登り、突きあったった涸滝下が大スラブ、中央リッジのアンカーらしくボルトが二本打ってあった。

      大ハング全景 水平ルーフは5~6m あるだろう 

             下部よりルーフを見あげる


大スラブダイレクト 12:20スタート

1P目、Ⅵ-25m SM―KT―SY
ルート図を見てもどう登るか良く分からない。左上はあまりにも簡単であるがそれらしいが、そこはやめて右の岩を登ることにした。
階段状を右上し7m進むと素晴らしいオフイズスの7mクラックが現れた。
フレンズ4番とキャメロット3番をセットし、右半身をクラックに人少しずつずりあかっていく。3m上がって今度は左半身へ態勢を人替えるのだが、剥がされそうで天気が良いのに冷汗が流れる。しかし、フットジャムは決まっていたのでなんとか落ちずに抜け口へ達した。 ここより5~6mでハイマツのアンカーを取り終了。見た目より厳しいが、おもしろい

2P目、Ⅲ 40m  SM―KT―SY
涙が出るくらいやさしく、快迎なスラブを直上していくが、ランニング・ビレーが全くないのでハーケンを一本打つが、ききは悪い。40m上がったバンドでボルトを2本打ちアンカーとする。

3P目、V 47m  SY一KT一SM
アンカーより直上していくが傾斜が増すくらいで、それほど難しくないピッチである。
ただ浮き石が多くなってくるので不用意な動きは禁物だ。プロテクションはナッツ、フレンズで充分取ることが出来る。残置ボルト一本のバンドでピッチを切る。

4P目、V 40m  SY一KT一SM
ここからはボロボロの璧となり、落石の則が愉保している我々めがけて降ってくる。
隠れる場所が全くないので、壁にへばりついてかわすが恐怖そのものここもプロテクションはナッツとフレンズで取り、残置は全くない。上部岩壁下のハイ松テラスに出て
右へ5m進みハイ松アンカーとするここから下を見ると一の倉沢のスラブのように見え、すばらしい。

5P目、Ⅳ 20m  KT一SM一SY
ハイマツテラス正面の巨大なフレーク左を直上がルートらしいが抜け口にはボルトが2本見えている。
時間がないので今回はハイマツテラス右端のカンテを直上することにした。
ここは逆層リッジの最終ピッチでもあることを後でルート図を見て知った。ブッシュに出て終了。 16:00

ブッシュのアンカーにて懸垂するが結び目が岩にひっかかりリ、ザイルが戻らなくなってしまった。KTが2回も登り返しやっと引き戻すことが出来た。
四回の懸垂で取り付きに戻った時はすでに辺りは暗闇に閉ざされていた。
ヘッドランプはSYしか持っていないがブッシュを強引に下り海岸に出た。18:00
テントを張り、流木を拾い集めている頃やっと賽の河原西壁パーティーOK,YSが戻ってきた。壁よりもブッシュがひどく大変だったらしい。焚き火をしながら晩飯を皆で食べるのは楽しい。夜、寝ようかと話しているとき、突然地面の下からズドンという鈍い振動が伝わってきたのには相当驚いた。これは積丹半島外周道路の一環で賽の河原トンネル掘削の発破らしい。


 クレイジールート 8:40スタート

1P目、Ⅳ-25m  KT―SY―SM
本来のルートはⅢ-くらいであまりにやさしいので左の柱状節理の入った小ハングを直上する。見た目ほど難しくなく、快適なピッチでプロテクションもすべてフレンズで取れる。 ボルトを一本打ち足してアンカーの補強をする。

2P目、Ⅵ- 25m  SM―KT―SY
ここも左へ大きく巻いてハングを越えるのだが、直上にも可能性があると思いハング直上することにした。ハーケン二本にフレンズにてランニングを取った後一休み。
右上へのホールドは少し遠く見えたので、左にホールドを求め右手を思いっきり伸ばしてフレンズ四番をかましてまたテンションをかける。
左手はパンパンにパンプしたが休憩後思い切ってハングを越え終了。

3P目、Ⅳ 20m  SY一KT一SM
カンテを2m上がって行くが浮石が多く掃除する必要があり、12:00の時点では時間切れだ。ボルトを一本打ち足し二回の懸垂で終了。 (SM)


日本海に面しているシシャモナイ海岸は、比較的岩質も硬く他では見ることのできない大ハングもある。大ハングではめったに経験できない空中アブミトラーバースが出来る。ただ、アプローチが遠いことと、海岸線をへつる必要があるので、滅多に登られていないだろう。