カミホロカメットク山 雪上訓練 2025
2025年12月13~14日
クラブ定例のカミホロ雪上訓練がいつものように実施されたが、二日目午後より超大型の低気圧がやって来るとの予報が出ていた。13日風もなく薄曇り空だが気温は十勝岳温泉駐車場でマイナス16℃とかなり低い。
7:30 スキーが4人、スノーシューが2人で出発。昨年同時期にくらべて雪は多く感じる。出発してまもなくビーコンのグループチェックを行う。問題はなし。安政火口でアイゼンに履き替え三段山方向の斜面に向かい、スタンディングアックスビレイの適地を探す。
斜度が低くてはビレイの訓練にはならないし。急すぎても失敗した時、事故につながる。標高1461m地点の斜面が適当と判断する。
スタンディングアックスビレイはアックスを踏み固めた斜面にヘッドまで雪に埋め込み、60cmのヌンチャクを二つ折りにし、アックスの頭にツーバイトで掛けカラビナをセット。ビレイする相手から延びてくるロープをカラビナに通してから、アックスとヌンチャクをそれぞれしっかりと両足で踏みこむ。カラビナに伸びたロープは肩の脇から背中を廻し、反対の方へと延ばす。カラビナ側の手は誘導手、反対側の手は制動手とする。
ビレイする相手が落ちた場合(訓練では7~8m上からソリを使い斜面を落下)相手を確認し、ショックが来る瞬間にロープを1秒くらい流し、制動手で確実に握りしめ止める。いわゆる流動確保なのだが、落ちた瞬間に両手を硬く握りしめがちになる。
普通の岩場で確保する場合は当然の事だが、スタンディングアックスでは間違いである。ロープを流さず止めると、衝撃のすべてがアックスにかかるため、一瞬にしてアンカーは破壊され、あっけなく滑落者に引きずられ、共に確保者も落ちてしまう。今回これは目の前で確認した。自分も実際に実施しなければ分からないだろう。当然ながら訓練はそのために行うのだから。流動確保なんて過去の技術と思われがちだが、こんなに見事な制動ができるなんて素晴らしい。
同時に行なったビーコンの訓練においても注意点がいくつか現れた。1名がビーコンを雪面に埋め込む。
5名が50mほど離れた場所から2mの間隔を取り、スイッチをseachに切り替る。雪崩のデブリに想定した方向を確認した後、画面に表示されたシグナルサーチ矢印方向に前進する。
デブリ末端からサーチ開始
持参したビーコンはORTOVOX(1)、MAMMUT(3)、PIEPS(2)となる。コースサーチに入る最初に表示された距離は45m.50m.60mとバラバラ。デバイスの新旧では明らかに差が出たので、出来れば最新のビーコンを手にしたい。
デブリの末端は硬く締まった雪の塊となりシャベルでなければ掘ることは出来ない
さらに前進すると方向も表示距離も同一点に向かった。1m位接近するとピンポイント捜索となり、各人が埋没者の大まかな位置を特定(0.3m)。埋没深度が深い場合、これ以上最短にならないかもしれないので、その位置でプローブを雪面に垂直に差し込む。
当日の積雪は深く、2.5mのプローブでも地面に届かなかった。もし当たらない場合、雪面を30cm程度掘り下げる。
サーチ、掘り下げを切替して埋没者を探す
1名が再度、雪面に接するようにビーコンを十字を切るように動かす。これ以上最短はないと判断したら控えていた者が1m四方を掘り下げ、雪を排出。次に控える者が排出された雪を更に後方に排出して救出する。これを埋没者を発見するまで繰り返す。埋没深度は考えている以上に深いので、焦らず確実に役割を果たしたい。
複数名が埋没した場合のサーチは複雑になり、注意が必要だ。埋没者の1名が特定されたらマークする。直ちにマークされていない埋没者へとサーチは誘導されるのだが、この日はマークしているにもかかわらずサーチは二方向を示して少し混乱した。最初の埋没者を掘り起こし、ビーコンのスイッチを切ると混乱は解消し、次の埋没者を特定救出した。
デブリの末端に埋まると想像以上に深くて驚く
複数名が埋没した場合、捜索は完全に分かれて行動するよりは、最初に感知特定した埋没者を多数で掘り起こし、次の埋没者に取り掛かった方が良いと思われる。もちろん捜索人員に余裕があれば7対3、6対4くらいでも良いと思われる。
いずれにしろ、生存可能な時間は15分と言われているくらいだから、焦りは出るはずだ。とはいえ無駄な動きはできない。そのためにも訓練はシーズンに最低一回もしくは2回は実施したいものだ。
火災避難訓練、地震津波避難訓練にしろ、頭で理解していても行動には移れないのが人間だ。身体に染み込ませなければ身につかないだろう。訓練のできていない者と山に出かける場合は、簡単でも現地でサーチの訓練をすべきと考える。あなたと私と家族のために
14日、安政火口にて若者は人影のあるルンゼから頂上を目指した
しばれる天候下で、7時間休みなしの訓練であったが得られたものは大きい。次の日、上富良野岳へと向かったものの、疲れと、手術後の痛み、不整脈、凍傷の後遺と老人4名はあえなく安政火口でリタイア。若者(50代だが)二名が下降ルンゼからD尾根経由でピークに登り、白銀荘の温泉でリラックスして待機している老人に合流。シーズンのスタートとなった。
老人4人は彼らを見送り下山した
なお、予報どうり14日夕方から道東を中心に道内は大荒れの天候になり、大雪が降った。